Hideyuki Yamashita

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バングラバンブープロジェクト

用途 バングラデシュにおける竹構造の農村住宅開発研究のモックアップ
共同設計者 ケエム・イフテカル・タンヴィル、江尻憲泰(構造)
ロケーション 北海道広尾郡大樹町芽武162-4
完成年月 2012.11
規模 116m2
受賞 ・LIXIL住生活財団2011年度助成金獲得
掲載誌ほか ・新建築2012.1
バングラデシュの経済成長の裏側では、過激な人口増加の問題がある。現在、北海道の2倍
ほどの面積に、日本の人口を大幅に越える1億6000万人が生活している。2050年には、2億
2000万人(今後40年間で70%増)になると言われている。そのほとんどが農民であり、農村住宅のほとんどは、農民の手による「竹の平屋」である。よって、人口増加→農地をつぶし宅地化→自給率の低下・農作の放棄という図式が、顕在化しつつある。政府は、この大問題に対して政策を準備していない。しかし、近い将来、絶対的に政策を打ち出す必要がある。

この研究は、バングラデシュ特産の竹を主体構造とする複数階住宅を建設によって、人口増加による農地の宅地化をとめ、環境負荷を低減することを目的としている。洪水や暴風に強い構造を担保するべく、現地のボラック竹による複数階の高床式住宅システムを研究開発するものである。 基礎研究の主体は長岡造形大学で、長岡造形大学での修士論文「バングラデシュの竹における建築および構造的な可能性の研究」(2011年 ケ・エム・イフテカル・タンヴィル、主査:山下秀之、副査:江尻憲泰教授+上山良子学長)に基づくものである。

隈研吾氏のもとで、構造家の江尻氏は南米の竹グアドゥアなどを使ったいくつかのプロジェクトを試みている。今回、隈氏の監修でトステム財団と研究会を組織し、実際にボラック竹を輸入し、北海道の草原にモックアップを建設した。「農民の手で建設し得る」という大きな目標の証左として、長岡からの造園業者と学生たちの手によりモックアップの建て方を行った。今後、日本企業による「トータルハウジング」のコンセプトを実行し、「バングラデシュの国づくり」という「ソーシャル・ビジネス」の視野が開かれることを期待している。その一方で、日本国内の建材にもその研究成果を適応し、竹の特性である曲げ強度が高い性能を取り入れた竹構造を開発し、近い将来、日本国内での住宅への流通にも関与すべく研究を続けたい。(山下秀之)

■竹の構造について

ボラック竹は、世界最強の竹、南米産グアドゥアに匹敵、3年で成木になる。輸出禁止品目だったが、大学間(バングラデシュ農業大学と長岡造形大学)で連携し、現地行政の許可を得た。
「農民の手で建設し得る」よう、組柱・組梁にはモデルを数多く作成し検討した。サイクロンを想定し、4本の組柱の外側にバットレスを配置し、水平力に抵抗させている。床は、丸竹の複層格子とした。竹材の全てのジョイントには、白川郷の合掌造りに見るわら縄やシュロ縄で縛ることを想定したが、現地でも番線が実際に使われているので、12番のなまし鉄線を採用した。実物大ジョイントの簡易的実験により強度の確認をしている。今後、竹材そのものの経年変化による劣化状況を観測しながら、解析的な検証を含め構造的な基礎研究を進める予定である。(江尻憲泰)

Bangladeshi Bamboo Project

Building type schematic mockup for farmers' residence in Bangladesh
Colaboration KM Iftekhar, Tanveer, N.Ejiri (structure)
Location Hokkaido
Date 2012.11
Floor area 116m2
Awards * LIXIL fund 2011
Publication * Shinkenchiku Jan.2012
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